2. 迎えに来て!

(2009年6月)

 

♪あめあめ ふれふれ かあさんが~
じゃのめで おむかい うれしいな~
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン♪


ところで


『じゃのめ』って何?


これです、これ。





$ホストファーザー奮闘記「日々英会話!」
日本独特の傘で、竹の骨組みに和紙を貼った傘。
見た目が“へびの目”に似ている事から
『じゃのめ(蛇の目)』と言われている。



ん?

へびの目ってどんなんだったっけ?


ま、いっか。


みなさん、こんにちはー!
今日もご機嫌!
マコリン@ホストファーザーです。

今日は「お迎え」についてのお話です。


そう、あれは忘れもしない、
僕が高校生の時のことです。
季節は夏で、とても蒸し暑い夜でした。

部活の夏合宿から帰ってきて、
最寄の駅までたどり着いたときのこと。

駅から実家までは徒歩10分程度なんですが、
ヘトヘトに疲れちゃっていまして。


もう一歩も歩けんっ


という状態だったんです。

アルファベットで表すとすると、



orz



の状態です。


そこで仕方なく、母親に電話し、

もしもし、おっかさん?
もう一歩も歩けないから、
駅まで迎えに来て!


と伝えたところ、
ちょっと高めのテンションで、

よっしゃぁぁあああっ!

という返事。


あ~、よかったよかった~
これで車で帰れる~

と僕は一安心して、
駅の待合室のベンチに座って
母親のお迎えを待つことに。

あまりにも疲れていたので、
ついウトウトしてしまいました。


どれぐらい時間がたったのでしょう。
たぶん20分ぐらいたっていたと思います。

マコ、迎えに来たよ~

という母親の声で目が覚めました。
ふと目を開けると、そこには
ポカリスエットのペットボトルを
片手に持った母親が立っていました。

僕はやれやれと思いながら、
車に乗り込みます。


ところが!



あれ?



車が・・・









ない!









僕の疲れ果てた体を乗せるための車が・・・



ない!



どこにも・・・




ない、ない、ない!




おかしいなと思い、
母親に確認します。


おっかさん!
車はどこ?



ないよ。


なんで?


コレコレ♪


と言って、ものすごい笑顔で
手に持っているポカリスエットの
ペットボトルを指差す母親。

$ホストファーザー奮闘記「日々英会話!」



ポカリがどうしたの?


中身はね~
実は日本酒よん♪
二ヒヒ♪



に、日本酒!?
どういうこと?


飲んだら乗るな♪
乗るなら飲むな♪

飲んでるから車は運転できなかったの。



ってことはまさか!?
歩いて迎えに来たの?



あったりー♪
二ヒヒのヒ~♪










アルイテムカエニキタ・・・だと?

おうっ?


二ヒヒのヒ~♪・・・だと?

おうっ?

おうっ?











プッチーーーン







僕のこめかみあたりで
ものすごい音がしました。





「お迎え」といったら、車やろうがぁあああああっ!

歩いて迎えに来る奴がどこにおるんじゃぁぁあああああっ!

そんな奴、世界中どこ探してもおらへんわぁぁあああああっ!




母親に対してブチ切れてしまいました。

一歩も歩けないからお迎えを頼んでるのに、
歩いて迎えに来られたら、結局歩いて
帰るしかないやんかっ!

おうっ?


飲んでるならそう言ってくれればよかったじゃん!
そうすれば変に期待することもなかったし!

おうっ?


ポカリのペットボトルに日本酒を入れたことが
素晴らしいアイデアであるかのように、
自慢げにアピールしてくるけど、そんなに
たいした事じゃないですからっ、それ!






ぬぉぉおおおおおっ!


怒りの収まらない僕は、
母親を置き去りにして、
走るように家に帰りました。
(一歩も歩けないはずではなかったのか?)


・・・時は経ち、約20年後の現在・・・




歩いて迎えに来る奴がどこにおるんじゃぁぁあああああっ!

そんな奴、世界中どこ探してもおらへんわぁぁあああああっ!


と20年前に大声で叫んだ僕でしたが、



なんと!



歩いて迎えに来る奴



発見!



その名は・・・








アラン





そうなんです。
うちのアランなんです。




あれはピンキーがまだ我が家にいた時のこと。


ピンキーからアランに電話がありました。


アラン?
今、板橋駅にいるから迎えに来て!



よっしゃぁぁあああああっ!




ん?


どこかで聞いたことのあるセリフだな、
と思いつつ、アランの行動を見ていると、
なんと歩いて迎えに行くではありませんか!

雨が降っていて、『じゃのめ』を持って
迎えに行くなら分かりますが、天気は晴れです。
雨なんか降っていません。


すかさずアランを引き止めて
質問する僕。


アランちょっと待って!
歩いてピンキーを迎えに行くの?



そうだよ


歩いて迎えに行って、
歩いて2人で帰って来るの?



そうだよ


「お迎え」っていうのは、
車で行くものじゃないの?



アメリカでは歩いて迎えに行くのは
わりと当たり前だよ。



な、なんですと ( ̄□ ̄;)!?


どうやら、アランとピンキーにとっては

『歩きでのお迎え』

は一般的なことみたいです。


その日以降も、アランからノブリン@ホストマザーに
電話がかかってきて、


ノブ~
板橋駅まで迎えに来て!
今日はつらいことがあったんだ(T_T)


ということがしょっちゅうです。

20年前に、

歩いて迎えに来る奴がどこにおるんじゃぁぁあああああっ!

そんな奴、世界中どこ探してもおらへんわぁぁあああああっ!


と叫んだ僕でしたが、
そんな奴、普通に身近にいました。
どうやらアメリカにもたくさんいるみたいです。

20年前のあの日。

せっかくお迎えに来てくれた母親に対し、
暴言を吐いてしまった僕。

母親を置き去りにして、
走るように家に帰った僕。

なんというちっぽけな人間だったんだろう。
ああ、恥ずかしい。



僕に置き去りにされながらも、
鼻歌を歌いながら家に帰ってきた母親。

次の日には何もなかったかのように
僕に対して笑顔で接してくれた母親。


僕は母親の優しさに包まれていたんだと
最近ようやく気づきました。

あの時、あんなふうにブチ切れてゴメンナサイ。

いつもありがとう。
僕を産んでくれてありがとう。
感謝しています。






おっかさぁぁあああああん!



日々英会話!

マコリン@ホストファーザー