4. アランとの出会い4

(2007年10月)

 

アランとの衝撃的な初対面から
1ヶ月ほどたったある日のこと。


その当時の僕とノブは、
僕の実家で両親と同居していました。


夜、いつものように、
ノブをアルバイト先へ迎えに行く僕。
二人で家に帰り、アルバイト先(惣菜屋)からもらった


「売れ残り弁当」


を食べていました。


はい。これは毎日のルーティンワークです。


腐りかけ弁・・・


じゃなくて


売れ残り弁当


って、けっこうおいしいんですよ♪


なにより、当時貧乏夫婦だった僕たちにとって、
一食分の食費が浮くわけですから、かなりの
節約になってました。


そしてその日は、ノブがこんな話を
切り出しました。


かっちかちに硬くなった

「売れ残り弁当」

の中の白米をほおばりながら(笑)



「NOVAがね。事実上倒産したんだって」

「うん。そうみたいだね」

「でね。今日アランがね、惣菜屋に来たの」

「あ、そう」

「アラン、突然泣き出したの」

「何で?」

「仕事はなくなりそうだし、社宅からも追い出されるんだって」

「おまけにここのところ給料も払ってもらってないんだって」



なんでも、アランは駅中の惣菜屋の前で立ち尽くし
、蚊の鳴くような小さな声で、


『もうどうしていいか分かんなくて、不安で不安で・・・ ポロポロッ』


といった感じだったらしい。


ノブの話によれば、アランは2007年の5月末に
来日したとのこと。


そして期待を胸に、6月から英会話講師として
日本生活スタート。


ところが、5ヵ月後には会社は倒産。
期待はあっという間に絶望へ。


う~ん。それはつらい。
いくら恋敵とはいえ、可愛そうに思えてきた。


「へぇー、そうなんだー。つらいね。」

「特に住む場所がないのはきっついなー。」



「何とか助けてあげられないかなぁ」

「うん。僕たちに出来る事は何でもしてあげよう」


・・・と言ってはみたものの、
今の僕らに出来ることって何だろう?


今の僕らには、話を聞いてあげることしか
できないよなぁ・・・


まあでも、今の思いを全部吐き出せば、
少しは楽になるだろう。


よし!アランの悩みを全部聞いてあげよう!
悩み相談には自身があったりして028


・・・などと考えていると、ノブが一言。


「うちに住まわせてもいい?1ヶ月間だけ」

「いいよ、いいよ。うちに住んでもら・・・・」








ん?




ウチニ・・・スム???


耳が遠くなったのだろうか?


「ウチニスム?」


「だめ?」


「うちって、ここのうちのこと?」



「うん♪」




おいっ、おいっ、おいぃーっ!

 

「うちって、ここのうちのこと?」

「うん♪」



いやいや、

いやいやいやいやいやー、それはないでしょーっ!

うち、実家だよ?
両親と同居だよ?
父ちゃんと母ちゃんがアランを見たら腰抜かすよ、絶対。
外国人なんか見たことないんだから!

腰抜かすどころか、ショック死するよきっと。
それ見て僕もショック死しちゃうって!


「どうしても助けてあげたいの」


そんなの絶対無理やって!
あーっ、断りたい!
「そんなの無理だよ」って今すぐ言いたいっ!



・・・でもちょっと待て。

もしここで「NO」って言ったら、

「あんた、器の小さい男ね」


って思われそうで怖い!


イエス?


ノー?


あーっ、どーしよ?
なんて答えたらいいんやーっ!


誰か助けてくれぇーっ!



次の瞬間、僕の口から出た言葉は・・・













「フッ、そうくると思ってたよ」028




・・・って、おいっ!


さらに、次から次へと口から言葉が出てきます。


「是非うちに来てもらおうよ。」

 ・・・おいっ!


「困ってる人をほっとけない性格でね」

 ・・・おいっ!おいっ!


「両親は俺が説得するから安心して!」

 ・・・おいっ!おいっ!おいいいいいいっ!



慌てて口を手でふさぐ僕。




「マコリン、ありがと♪」



ぬぁぁぁあああああ!

 


思ってもないことを言っちまったぁぁぁああ!

 

 

続く

 

日々英会話! 

マコリン@ホストファーザー