道徳について

学校教育における道徳

今、日本から道徳や倫理、さらにはマナーやモラルといったものが著しく欠けていっています。

このような状況を危惧しては、文科省が「道徳」の授業を義務教育において教科化しました(小学校が2018年度から、中学校が2019年度から)。

 

しかし、小学校や中学校で道徳の授業が教科化されたからといって、日本の古き良き道徳観をすぐに取り戻せることにはなりません。そこでまずは大人である私たちが、もう一度道徳について学ぶ必要があるのではないでしょうか。

 

このページでは、文科省が定めた道徳についての小学校・中学校の学習指導要領を抜粋して載せておりますが、大人である私たちが見ても、大切なことばかりが書かれていますので、一度お目通しされてはいかがでしょうか。


道徳とは?

■道徳教育

 自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した一人の人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳力を養うことを目標とする教育活動のことをいいます。

 

■道徳力

 人間としてよりよく生きようとする人格的特性のことです。

 道徳教育を通じて育成される道徳力、とりわけ、内省しつつ物事 の本質を考える力や、何事にも主体性をもって誠実に向き合う意志や態度などは、「豊かな心」だけでなく、「確かな学力」や「健やかな体」の基盤と もなり、「生きる力」を育むために極めて重要なものであります。 

 

■日本社会の持続的成長

 道徳力は、人が一生を通じて追求すべき人格形成の根幹に関わ るものであり、同時に、日本社会の持続的発展を根底で支えるものでもあります。

 

■グローバル化への対応

 今後グローバル化が進展する中で、様々な文化や価値観を背景とする人々と相互に尊重し合いながら生きることや、科学技術の発展や社会・経済の変化の中で、人間の幸福と社会の発展の調和的な実現を図ることが一層重要な課題 となってきます。

 こうした課題に対応していくためには、日本人一人一人が、高い倫理観をもち、人としての生き方や社会の在り方について、時に対立がある場合を含めて、多様な価値観の存在を認識しつつ、自ら感じ、考え、他者と対話し協働しながら、よりよい方向を目指す資質・能力を備えることがこれ まで以上に重要となってきます。

 

■道徳教育における4つの視点

A 主として自分自身に関すること

B 主として人との関わりに関すること

C 主として集団や社会との関わりに関すること

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること


4つの視点の各項目(小学校第1学年から第4学年まで)

 

 

 小学校第 1 学年及び第 2 学(19)

小学校第 3 学年及び第 4 学年(20)
 A 主として自分自身に関すること 
善悪の判断、自律、自由と責任

 (1)よいことと悪いこととの区別をし、よいと思うことを 進んで行うこと。

(1)正しいと判断したことは、自信をもって行うこと。
正直、誠実 (2)うそをついたりごまかしをしたりしないで、素直に伸 び伸びと生活すること。 (2)過ちは素直に改め、正直に明るい心で生活すること。
節度、節制 (3)健康や安全に気を付け、物や金銭を大切にし、身の回り を整え、わがままをしないで、規則正しい生活をすること。 (3)自分でできることは自分でやり、安全に気を付け、よ く考えて行動し、節度のある生活をすること。
個性の伸長 (4)自分の特徴に気付くこと。 (4)自分の特徴に気付き、長所を伸ばすこと。
希望と勇気、努力と強い意志 (5)自分のやるべき勉強や仕事をしっかりと行うこと。 (5)自分でやろうと決めた目標に向かって、強い意志をもち、粘り強くやり抜くこと。
真理の探究
B 主として人との関わりに関すること
親切、思いやり (6)身近にいる人に温かい心で接し、親切にすること。 (6)相手のことを思いやり、進んで親切にすること。
感謝 (7)家族など日頃世話になっている人々に感謝すること。 (7)家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築い てくれた高齢者に、尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。
礼儀 (8)気持ちのよい挨拶、言葉遣い、動作などに心掛けて、 明るく接すること。 (8)礼儀の大切さを知り、誰に対しても真心をもって接す ること。
友情、信頼 (9)友達と仲よくし、助け合うこと。 (9)友達と互いに理解し、信頼し、助け合うこと。
相互理解、寛容 (10)自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、相手のこ とを理解し、自分と異なる意見も大切にすること。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
規則の尊重 (10)約束やきまりを守り、みんなが使う物を大切にすること。 (11)約束や社会のきまりの意義を理解し、それらを守ること。
公正、公平、社会正義 (11)自分の好き嫌いにとらわれないで接すること。 (12)誰に対しても分け隔てをせず、公正、公平な態度で接 すること。
勤労、公共の精神 (12)働くことのよさを知り、みんなのために働くこと。 (13)働くことの大切さを知り、進んでみんなのために働く こと。
家族愛、家庭生活の充実 (13)父母、祖父母を敬愛し、進んで家の手伝いなどをして、家族の役に立つこと。 (14)父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。
よりよい学校生活、集団生活の充実 (14)先生を敬愛し、学校の人々に親しんで、学級や学校の 生活を楽しくすること。 (15)先生や学校の人々を敬愛し、みんなで協力し合って楽 しい学級や学校をつくること。
伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する 態度 (15)我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつこと。 (16)我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、国や郷土を愛する心をもつこと。
国際理解、国際親善 (16)他国の人々や文化に親しむこと。 (17)他国の人々や文化に親しみ、関心をもつこと。
   D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
 生命の尊さ  (17)生きることのすばらしさを知り、生命を大切にすること。  (18)生命の尊さを知り、生命あるものを大切にすること。
 自然愛護  (18)身近な自然に親しみ、動植物に優しい心で接すること。  (19)自然のすばらしさや不思議さを感じ取り、自然や動植 物を大切にすること。
 感動、畏敬の念  (19)美しいものに触れ、すがすがしい心をもつこと。  (20)美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。
 よりよく生きる喜び  ー  ー

4つの視点の各項目(小学校第5学年から中学校まで)

 

 

  小学校第 5 学年及び第 6 学年(22)

 中学校(22)
 A 主として自分自身に関すること 
自主、自律、 自由と責任

(1)自由を大切にし、自律的に判断し、責任のある行動を すること。

(1)自律の精神を重んじ、自主的に考え、判断し、誠実に 実行してその結果に責任をもつこと。
(2)誠実に、明るい心で生活すること。
節度、節制 (3)安全に気を付けることや、生活習慣の大切さについて理解 し、自分の生活を見直し、節度を守り節制に心掛けること。 (2)望ましい生活習慣を身に付け、心身の健康の増進を図り、節度を守り節制に心掛け、安全で調和のある生活をすること。
向上心、個性の伸長 (4)自分の特徴を知って、短所を改め長所を伸ばすこと。 (3)自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、個性を伸 ばして充実した生き方を追求すること。
希望と勇気、克己と強い意志 (5)より高い目標を立て、希望と勇気をもち、困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。 (4)より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気 をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。
真理の探究、創造 (6)真理を大切にし、物事を探究しようとする心をもつこと。 (5)真実を大切にし、真理を探究して新しいものを生み出 そうと努めること。
B 主として人との関わりに関すること
思いやり、感謝 (7)誰に対しても思いやりの心をもち、相手の立場に立って親切にすること。 (6)思いやりの心をもって人と接するとともに、家族などの支えや多くの人々の善意により日々の生活や現在の自 分があることに感謝し、進んでそれに応え、人間愛の精神を深めること。
(8)日々の生活が家族や過去からの多くの人々の支え合いや助 け合いで成り立っていることに感謝し、それに応えること。
礼儀 (9)時と場をわきまえて、礼儀正しく真心をもって接する こと。 (7)礼儀の意義を理解し、時と場に応じた適切な言動をとること。
友情、信頼 (10)友達と互いに信頼し、学び合って友情を深め、異性に ついても理解しながら、人間関係を築いていくこと。 (8)友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち、互い に励まし合い、高め合うとともに、異性についての理解を深め、悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
相互理解、寛容 (11)自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、謙虚な心 をもち、広い心で自分と異なる意見や立場を尊重するこ と。 (9)自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれ の個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方 があることを理解し、寛容の心をもって謙虚に他に学び、自らを高めていくこと。
C 主として集団や社会との関わりに関すること
遵法精神、公徳心 (12)法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り、自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。 (10)法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとと もに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を 大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。
公正、公平、社会正義 (13)誰に対しても差別をすることや偏見をもつことなく、公正、公平な態度で接し、正義の実現に努めること。 (11)正義と公正さを重んじ、誰に対しても公平に接し、差 別や偏見のない社会の実現に努めること。
社会参画、 公共の精神 (14)働くことや社会に奉仕することの充実感を味わうとと もに、その意義を理解し、公共のために役に立つことを すること。 (12)社会参画の意識と社会連帯の自覚を高め、公共の精神をもってよりよい社会の実現に努めること。
勤労 (13)勤労の尊さや意義を理解し、将来の生き方について考えを深め、勤労を通じて社会に貢献すること。
家族愛、家庭生活の充実 (15)父母、祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、進んで役に立つことをすること。 (14)父母、祖父母を敬愛し、家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。
よりよい学校生活、集団生活の充実 (16)先生や学校の人々を敬愛し、みんなで協力し合ってよりよい学級や学校をつくるとともに、様々な集団の中での自分の役割を自覚して集団生活の充実に努めること。 (15)教師や学校の人々を敬愛し、学級や学校の一員としての自覚をもち、協力し合ってよりよい校風をつくるとともにし、様々な集団の意義や集団の中での自分の役割と責 任を自覚して集団生活の充実に努めること。
郷土の伝統と文化の尊重し、郷土を愛する態度 (17)我が国や郷土の伝統と文化を大切にし、先人の努力を知り、国や郷土を愛する心をもつこと。 (16)郷土の伝統と文化を大切にし、社会に尽くした先人や 高齢者に尊敬の念を深め、地域社会の一員としての自覚 をもって郷土を愛し、進んで郷土の発展に努めること。
我が国の伝統と文化の尊重、 国を愛する態度  (17)優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに、日本人としての自覚をもって国を愛し、国家及び 社会の形成者として、その発展に努めること。
国際理解、国際貢献 (18)他国の人々や文化について理解し、日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。 (18)世界の中の日本人としての自覚をもち、他国を尊重し、国 際的視野に立って、世界の平和と人類の発展に寄与すること。
   D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
 生命の尊さ (19)生命が多くの生命のつながりの中にあるかけがえのな いものであることを理解し、生命を尊重すること。 (19)生命の尊さについて、その連続性や有限性なども含めて理解し、かけがえのない生命を尊重すること。
 自然愛護 (20)自然の偉大さを知り、自然環境を大切にすること。 (20)自然の崇高さを知り、自然環境を大切にすることの意義を理解し、進んで自然の愛護に努めること。
 感動、畏敬の念 (21)美しいものや気高いものに感動する心や人間の力を超 えたものに対する畏敬の念をもつこと。 (21)美しいものや気高いものに感動する心をもち、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めること。
 よりよく生きる喜び  (22)よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し、人間として生きる喜びを感じること。  (22)人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生 きようとする心があることを理解し、人間として生きる ことに喜びを見いだすこと。