3. 言葉が通じなくても・・・

(2011年3月8日)

 

みなさん、こんにちは!
マコリン@ホストファーザーです。

今日はアランの職場での出来事について
書こうと思います。

アランは現在、小学校の英語の先生をやっていますが、
今回書くのは、英語の授業に関することではありません。

学校の給食時間のことを書きたいと思います。

学校の先生は、担任クラスを持っている場合は、
生徒と一緒に給食を食べます。

ところがアランは担任クラスを持っているわけでありません。
ですので、給食はどこで食べるのも自由です。

職員室の机で食べたり、
外のベンチで食べたり・・・

それどころか、給食を食べるか否かも自由です。

外国人の英語の先生の中には、納豆やイカなど、
食べられない日本食がたくさん出ることを理由として
給食を食べない先生も結構いるようです。
そういう人たちは、お弁当や外食みたいです。

このような状況の中、アランは給食派です。

また、食べる場所は、毎回違うクラスではありますが、
必ず生徒と一緒に食べます。


そんなアランにある日、質問してみました。

なんで生徒と一緒に食べるの?
疲れない?


するとアラン。

確かに、昼休みぐらい1人でゆっくりしたいという気持もあるよ。

でも、生徒と一緒に給食を食べたほうが、僕と生徒との距離がグーンと縮まるんだ。

そうすると、英語にもより一層興味を持ってくれるんだ。



おお!
えらいな、アラン。


でも、給食は食べられない日本食が
結構出るでしょ?


うん。
でも、先生は生徒の見本にならなきゃいけないから
無理やり食べてるよ。


すばらしい!


僕は、僕が想像していた以上に
アランがプロ意識を持って仕事に
取り組んでいた事に感心しました。


さらにアランは給食の話を続けます。

実はね、今日、生徒のお母さんに会ったんだ。

お母さんに会った?
いったい何があったの?


うちの学校にはハンデキャップクラスがあるんだ。
僕は毎週1回は必ずそのハンデキャップクラスで
給食を食べてるの。

で、そのハンデキャップクラスに誠君(仮)という生徒がいてね。
去年の4月に誠君に初めて会ったとき、彼は僕を見ておびえていたんだ。

でも僕ね、毎週毎週、誠君に話しかけたんだ。
なんとか誠君を笑わせようとしてね。

だけど、誠君は


『アレ』

『ソレ』

『ママは?』


の3つの言葉しか話せないから、
会話はできなかったけどね。

でもね、最初は僕におびえていた誠君が、
徐々に僕に心を開いてくれたんだ。
最近では笑顔を見せてくれるまでになったんだよ。

この前なんか日本人の先生が

「誠君、こっち見て。話を聞いて。」

って何回言っても反応しなかったんだけど、

僕が

「Listen to me」

って言ったら、パッとこっちを見てくれたんだ。
そして話を聞いてくれたんだ。
本当に嬉しかったよ。


それでね、今日の話なんだけどね。
誠君のお母さんが学校に来たんだ。

お母さんは僕のところに駆け寄ってきて、
言ったの。


アラン先生、ありがとうございます。
うちの誠が突然しゃべるようになったんです。


『アレ』

『ソレ』

『ママは?』


の3つの言葉しか話せなかった誠が・・・誠が・・・


『アラン』

『Goodmorning』

『table』

『See you』


って言うようになったんです。
それもとびっきりの・・・笑顔で・・・

信じられません・・・
本当に・・・本当に・・・ありがとうございます。





お母さん、号泣していたそうです。



それを見たアランも号泣したそうです。


誠君の心と僕の心が通じ合ったんだ。
僕、先生をやってて本当によかった。
こんな嬉しいことはないよ。



と言いながら、再びアランは涙を流しました。
聞いていたノブと僕も思わず泣いてしまいました。


誠君を楽しませようとするアランの強い気持が
誠君に伝わったんだと思います。


言葉が通じなくても、
心は通じ合えるんですね。



心が通じ合うよろこびって・・・

最高のよろこびですよね。



その後、誠君のお母さんは、アランに

これからも宜しくお願いします

と頭を下げられたみたいですが、
アランは来年は別の学校で働く事になっています。

ですので、誠君とは3月末でお別れです。
アランも本当に残念がっています。


誠君。心を開けるような先生に、
再び巡り合えることを祈っています。

そしてアラン。1人でも多くの生徒さんの心を
ぐっとつかむような人間になってください。
あなたなら必ずできます。

日々英会話!

マコリン@ホストファーザー